運輸業において「運行管理者」って耳にしたことはありませんか?自動車運送事業者は、一定の数以上の事業用自動車を有している営業所ごとに、一定の人数以上の運行管理者を常駐しなくてはなりません。運行管理者はドライバーが安全運行できるように支える大事な仕事なのです。今回は「運行管理者」についてまとめてみました。
運行管理者とは?
運行管理者は事業用自動車の運行の安全を確保するための業務を行います。ドライバーは公共道路を使い、一般車両や歩行者と混在して走行します。ハンドルを握るドライバーは健全な心身と高い安全意識が求められます。法律に基づき、運行の安全を確保する役割の運行管理者がいることで、ドライバーは日々安心して乗務することができます。運行管理者は自動車運送事業の種別によって「貨物」と「旅客」の2種類があります。
貨物 | 旅客 |
貨物自動車運送事業者 トラック業界 |
旅客自動車運送事業者 バス・タクシー業界
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運行管理者になるには?
運行管理者は国家資格の1つです。試験は年に2回、8月と3月に実施しています。
受験資格は以下の通りです。
※運行管理者の基礎講習は、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)や自動車学校で行っています。
「貨物」と「旅客」はそれぞれ出題分野が異なります。
貨物 | 旅客 |
①貨物自動車運送事業法関係 | ①道路運送法関係 |
②道路運送車両法関係 | ②道路運送車両法関係 |
③道路交通法関係 | ③道路交通法関係 |
④労働基準法関係 | ④労働基準法関係 |
⑤その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力 | ⑤その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力 |
合格基準は「貨物」も「旅客」は同一で、総得点が満点の60%以上必要となります。また、①から④の分野ごとに正解が1問以上、⑤は正解が2問以上でないと合格することができません。ちなみに合格率はだいたい30%台となっています。実務経験を積んでいたり基礎講習を受講していても、この合格率というのは試験の内容が難しいことがうかがえます。
また運送事業者において選任されている運行管理者は、定期的に(2年に1度)一般講習を受講することが義務付けられています。
仕事内容
①出発前の点呼
ドライバーにとって体調管理は重要です。ドライバー自身が気を付けていることではありますが、会社としても体調管理する必要があります。ドライバーが出発する前に、健康状態やアルコールチェックをします。帰着時にも点呼をします。
②当日の運行指示
ドライバーが安全に走行できるよう具体的な指示を出します。スムーズな運行のため、当日の道路状況などの情報をドライバーに伝えます。
③時間の管理
ドライバーの勤務時間や乗務時間、休息や睡眠を適切に管理しなければなりません。十分な休息、睡眠が取れていない場合や連続運転時間などを守らなければ事故の原因になることもあり得ます。また長距離運転や夜間運転の乗務の場合は、あらかじめ交代するドライバーを配置することもあります。
④ドライバーに対する指導及び監督
ドライバーが1日乗務した内容を記録し、報告したものを保存します。運行記録計(タコグラフ)に走行距離、走行時間、瞬間速度が記録されたものを管理保存します。また、新たに雇い入れたドライバーの教育や指導を行います。
まとめ
運輸業でドライバー自身が気負うことなく、安心して乗務できるのは運行管理者がしっかりと管理してくれるからということが分かります。運行管理者が存在することで、未経験者であっても安心して飛び込むことができるのではないでしょうか!